> ここあるさん自己紹介

老師の教え⑤

偉い人に

なったらあかんで!

 

 

自惚れた自分を戒めるように

その後は、衣料関連の会社で

営業の仕事を一生懸命やった。

積極的に声をかけて

全身全霊で販売に取り組んだ!

 

しかし時代は、

昭和の不動産バブル崩壊直後!

大きな会社がバンバン倒産するような

とんでもない時期!

そんな中でも私の営業成績は

そこそこ良かった!

が、会社は火の車・・・

だんだんと給料の未払いが続き

気が付いたら3~4か月

ほとんど給料をもらってなかった!

 

やはりそうなると悪循環で

ますます会社の士気も落ち

人もやめていった!

恒例になっていた

 

 

私:

会社が厳しいから仕事

どうしようかなって考えてるんや・・・

給料も貰えてないし・・・

 

老師:

そうか、こんな時期やからな

色々あるし会社経営している人も

たいへんや。

 

私:

そうりゃそうやろうけど・・

 

老師:

会社に勤める時はな

自分がその会社の社長や思って

一生懸命やればええ!

偉い人にも

自分が良いと思うことや

アイディアがあれば

言いたいこと言ったらいい!

言いたいこと言って

聞いてくれない会社なら

やめてまえ!!

本気で自分の会社のように

考えてくれる社員の話も

聞けへん社長はどうせあかん!

 

私:

そうかそうやな・・・

そうしてみる。

 

しばらくして、

私は部署の移動があり

まったく畑違いのところに

回された。

小さな会社だからやっていることは

ある程度把握していたが

責任者がやめるから

次の責任者の中継ぎくらいで

掘りこまれた感じだった。

いざそこに行くと

店内は雑然としていて

よく見ると棚には埃だらけ

こりゃダメだ!と思い

引きついだ後

すぐに店内をすべて隅々まで掃除し、

棚、窓ガラスなどを

ピカピカに磨き上げ

いらないものを捨てた

 

スッキリしたところ

売上が悪いと聞いていたお店に

何故か?お客さんが

パラパラやって来ていた。

売上が今まで以上に上がりだした。

社長に

「なんで最近売れてるんや?

今まで全然だったのに・・・」

「別に特別なことはしていません。

店を綺麗にしてしっかり

接客してると買って

もらえるだけです」

 

ほう~そうか・・・

と社長はまぐれでたまたま

よかったのだろうというそぶりだった。

 

そこから3か月間くらいずっと

売上の良い状態をキープしていると

社長に呼ばれた!

「もっとお金かけて商品増やすと

売上あがるんか?」

「はいそいう思います・・・」

と言った時に

老師のお話を思いだした。

 

偉い人にも

自分が良いと思うことや

アイディアがあれば

言いたいこと言ったらいい!

言いたいこと言って

聞いてくれない会社なら

やめてまえ!!

 

その社長は硬派な営業の

トップセールスマンという経歴で

私の上司たちも誰一人口出しない

ほど恐れられていた。

 

私は、内心、

言いたいこと言ったら

首かも・・・

と恐れながらも

今後どうしたらいいか

ということは熱弁した!

 

するとあっけにとられた社長が

「お前面白いこと言うな(・。・;

それ!おもしろいから調べて次までに

話しもってこいよ・・・」

 

えっ!聞いてくれた!

老師が言ったように

情熱こめて話したら

あの超ワンマンな社長が・・・

受け入れてくれた!!!

 

私がそこからアイディアを練り

商品を構成して、仕入れ、

人員を配置し

販売に全力投球した!

すると今までの売上が

4倍までに膨れ上がり

他の部署も私のやり方をまねて

販売するようになり

なんと!そこから

1年半年ほどで

会社の借金数千万円を

完済することができた!

固定給と軽~い歩合しか

もらえなかったが

当時23歳の私には

とても貴重な体験で

その後の仕事にも活かされた!

 

社長が

「お前はアホやな!笑

けどな、お前の上司やらは

かしこいけどもっとアホや!

わしの目の前に来たら

なんも言わんと「はい!」しか

言わん!そんなやつあかん!

伸びん!

でもお前は一生懸命熱込めて

俺のところくる!

一から会社立ち上げて

社長になるやつなんて

正気じゃできんからな

ある意味アホしかできんのや笑

 

そのままのお前でいい!

それ一つだけでええやで!

それだけ大事にしていけ!

 

私は涙が出そうなほど

その言葉に嬉しく励まされた。

 

少し時がたち老師に報告に行った。

 

私:

会社の社長に言いたいこといったら

売上上がり、

めちゃくちゃほめてもらった!

 

老師:

そうか、それは良かったな。

会社の経営者とは

孤独なもんなんや。

責任は自分がとるという覚悟で

やっているけど、従業員に

自分の弱いところはみせれん人が多いし

いつも大きなものを抱えて孤独なんや

社長になってお金いっぱいあったら

楽できると思てるやろ!?

 

私:

えっ!違うの(・・?

 

老師:

そんなもん楽なことあるかい、

お金を手にするというのは

そんな楽なことばかりやないで

それを活かしていかなあかんし

会社、従業員、家族を

守らなあかんという

プレッシャーは大変なもんや!

だから、

夜はそのプレッシャーから

解放されたくて

夜のまちで発散しとるんやで笑

その話を聞いて

社長のことが思い浮かんだ

あんなに怖い感じで

いつも厳しくしてるけど

内面では経営者の不安との戦いで

いつも孤独だったんだやな・・・

と。

 

この一連の出来事から

私は偉い人への見方が

ごろっと変わった。

 

仕入れ先のお偉いさんや

会社の上司にも

偉い人という概念は捨てて

その方の懐に入って

本音で話すようにしていった!

すると何故か?

今まで以上に向こうから

可愛がってもらえるようになった!

しばらくして

私は自分の行く道は

ここではなと思い

その会社を辞めた!

 

やめる時、

その社長の前で深々と土下座して

お礼を申し上げた。

30年近く前のことだが

今でもあの時の感謝を忘れていない。

 

老師が仕事の話をするときに

いつも言っていた言葉がある。

偉い人に

なったらあかんで!

関西弁では、

えらい=しんどい(つらい)

という意味合いがある。

偉い人になったらあかんで!

という意味が今はわかる気がする。

 

続く・・・

 

老師の教え⑥